新たながん遺伝子パネル検査に関する厚生労働省・先進医療技術【先進医療B】研究として、「国内完結型個別化医療に向けたマルチプレックス遺伝子パネル検査研究」が厚生労働省より承認され、2020年12月1日より、岡山大学病院が全国で初めて実施することになりました。国内では最多となる523遺伝子を搭載したがん遺伝子パネル検査となります。
これまで、がん遺伝子パネル検査は2種類ありましたが、がんの種類によっては十分な遺伝子が調べられないこともありました。今回承認された検査では、対象となる遺伝子の数がこれまでより多くなり、内科的・外科的治療の対象がなくなった患者さんにとっても治療薬や治療法が見つかる可能性が高くなることが期待されます。
現在のがんゲノム医療において、保険適用されている「がん遺伝子パネル検査」は2種類ありますが、がんの種類によっては十分な遺伝子が調べられないこともあります。このような背景の中、これまでのがん遺伝子パネルで捉えられなかった遺伝子の異常を捉えることができる、新たな遺伝子パネル《TruSightTM Oncology500》(TSO500)がイルミナ株式会社により開発されました(参照URL: jp.illumina.com/tso500)。
本研究で使用するTSO500は、医療機器ならびに体外診断用医薬品として承認されていないため、「先進医療(先進医療B)制度※1」に基づいて定められた枠組みの中で実施します。これまでの2種類のがん遺伝子パネル検査では、それぞれ114個、323個の遺伝子を対象にしていましたが、今回新たに開発されたTSO500では523遺伝子を調べることが可能で、治療薬が見つかる可能性がより高くなることが期待されます。また、免疫チェックポイント阻害剤の治療効果を予測する指標として使われている腫瘍遺伝子変異量(TMB)についても、遺伝子の数が多いほど精度が高くなることが示されていることから、より正確に測定することができます。
本研究は、これまでに悪性腫瘍と診断された16歳以上の方で、外科的な治療の対象でなく標準的な抗がん剤による治療を実施後の固形がんの患者さんが対象で、すでに検査や手術時に採取・保管されている腫瘍組織が得られる方に限ります。
本研究は、2020年12月1日(予定)から2022年4月30日までの期間で実施し、250名の患者さんに参加していただく予定です。先進医療にかかる医療費は全額患者さんの自己負担となり、本研究では約60万円程度になります。