研究内容Research Content

岡山大学病院ゲノム医療総合推進センターでは、がんゲノム医療の進展を目的とした研究開発と、新たながん医療の展開を目的とした研究支援を行っています。

がんゲノム医療の進展を目的とした研究開発

先進医療 B

2019 年 6月にがん遺伝子パネル検査が保険適用されて以来、ゲノム医療が国内で広く実施されるようになりました。開始当時は、「FoundationOne CDx がんゲノムプロファイル」と「OncoGuide NCC オンコパネルシステム」の2種類のがん遺伝子パネル検査しか薬事承認されていませんでした。しかし、それらの検査よりも遺伝子数が多く、DNA と RNA を用いる新たな遺伝子パネル検査「TruSight™ Oncology 500(TSO 500)」がイルミナ社から開発されたことを受け、岡山大学病院では実用化に向け、TSO500 を用いた「国内完結型個別化医療に向けたマルチプレックス遺伝子パネル検査研究」を先進医療 B として実施してきました。2020 年 12 月から 2022 年 12 月末までの期間に 250 名の患者さんに参加していただき、現在その結果を評価しています。(詳しくは臨床の先進医療のページをご覧ください)

全ゲノム解析

がんや難病等のより良い医療のために、国家戦略として全ゲノム解析等が推進されています。2022 年度よりゲノム医療総合推進センターも、共同研究機関として多施設共同研究(患者さんからご提供いただいた検体・情報を用いて全ゲノム等解析を実施してデータベースを構築し、専門家による解析結果の解釈・検討を行った上でその結果等を患者さんの診療に適切に活用する体制を構築することを目的にした研究*)を行っています。
*「がん全ゲノム解析等による実践的個別化医療体系構築と拡充をめざした多施設共同研究」(AMED;2022~)

新たながん医療の展開を目的とした研究支援

研究支援

現在のがんゲノム医療では遺伝子の変異情報をもとにした分類(層別化)による最適な治療法の提供が行われていますが、一部の腫瘍では遺伝子の発現(トランスクリプトーム)情報を用いることで、さらに精度よく分類(層別化)できることが分かってきました(遠西ら2019,2020など)。
ゲノム医療総合推進センターでは、ゲノム情報やトランスクリプトーム情報を統合したマルチオミックス・がんゲノム医療の臨床応用を目指した研究*を支援しています。
*「空間マルチオミクス解析による腫瘍浸潤B細胞TLSの機能解明と腫瘍免疫療法への展開」(基盤研究B;2023~)
*「空間マルチオミックスを用いた慢性肺GVHDとの比較による慢性移植肺機能不全の病態解明」(基盤研究C;2023~)
*「シングルセル・マルチオミクス解析がもたらすリンパ腫時空間的不均一性の解明」(基盤研究B;2023~)
*「時空間シングルセル・マルチオミクス解析による移植後免疫再構築メカニズムの解明」(基盤研究B;2024~)
*「ハイブリッド遺伝子変異がもたらすリンパ腫時空間的不均一性を克服する新たな治療法開発 」(AMED;2024~)
*「CAR-T細胞療法抵抗性・耐性におけるリンパ腫組織内細胞間クロストークの時空間的解明と新規治療開発 」(AMED; 2024~)
*「マルチオミクス解析による鼻副鼻腔癌の分子分類と精密医療の確立」(基盤研究B;2025~)

受託解析

ゲノム医療総合推進センターで所有する研究機器を利用して、学内だけでなく学外の皆様にも広く利用していただける受託解析を実施しています。
2021年度のnCounter® Analysis Systemを用いたマルチプレックス遺伝子発現解析を皮切りに、今年で4年目を迎えた現在では、新たに県内初となるCosMxを導入し、GeoMxによる空間トランスクリプトーム解析、10Xを用いたシングルセル解析など、最先端の研究を多数実施しており、研究の高度化・迅速化をサポートしております。

ゲノム医療総合推進センターで所有する研究機器をご紹介いたします。ご興味のある方はお気軽にお問い合せくださいませ。

【機器一覧】 https://corefacility-potal.fsp.okayama-u.ac.jp/equipment/index/

問い合わせ先:岡山大学病院 ゲノム医療総合推進センター
cgm-center@okayama-u.ac.jp