がんゲノムゼミ

医学生と作り上げ進化&深化するゼミ

はじめに

がんゲノム医療は近年の急激な技術進歩により、実用化が進んでいます。
医学部学生の時からがんゲノム医療に触れ、理解を深めることは将来の医師として、がん患者に個別最適な治療を提供するうえで重要であると考えています。
しかし、今までに学生主体でがんゲノム医療を学習する取り組みは全国でも例がないと思われます。
そこで、岡山大学医学部医学科生の有志とがんゲノム医療を学ぶゼミ(がんゲノムゼミ)を当センターと一緒に作り上げました。

はじめに

発足経緯

がんゲノムゼミ発足の背景は、がんゲノム医療で行われるカンファレンス(エキスパートパネル)を聴講した医学科学生がその内容を他学生と共有したところ、複数の学生ががんゲノム医療に興味を示したことです。
そして、学生たちは岡山大学病院が中四国唯一のがんゲノム医療中核拠点病院であり、全国トップクラスの症例数を有することを知り、この環境を活用してがんゲノム医療を詳しく学びたいと考え、ゼミを立ち上げました。
今までに例のない新たな取り組みのため、小規模に参加者を募り、2022年1月に「がんゲノムゼミ」として開始しました。
原則、ゼミはオンサイトで開催していますが、COVID-19の状況によりオンラインも組み合わせながら実施しています。

発足経緯

ゼミの内容

ゼミの内容は、前半にエキスパートパネルで扱った症例を当センターの医師がアレンジし紹介、後半は学生からの質問を基にディスカッションを行っています。
学生側は、エキスパートパネルでホストを努める医師から直接指導を受けられるため、実現場の臨場感を感じながら、がんゲノム医療の流れや現段階での限界、これから注目される研究領域等の理解を深めていることのことです。
一方、指導する側としては新しい医療であるがんゲノム医療に対して、学生の素直で率直な意見や感想を聞けることで、次世代のがんゲノム医療の在り方を考える素晴らしい機会にも繋がっています。

ゼミの内容

学会発表

ゼミ立ち上げ後に学生が「第54回日本医学教育学会大会」にてポスター発表を行い、各方面から大変多くの反響をいただきました。

学会発表

おわりに

学生発のゼミと言うこともあり、参加学生の高い学習意欲の維持とともに知識定着度の高い場となっています。
今後、ゼミの規模を拡大または維持し、内容を深化させるかは思案中ですが、学生が受動的にならず能動的に取り組む環境を維持する仕組みを作ることがベスト。
そのためには、医学教育の専門家などの意見を求める取り組みが必要であり、加えて、現在は当センターの教員が講師を担っていますが、ゲノム医療ならではの診療科を横断した講師陣の充実も課題として受け止めています。